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ビジュアルスノウは難病?障害?手帳はもらえる?

「ビジュアルスノウ(視界砂嵐症候群)ってただの病気?それとも希少疾患?難病?障害?サポートは受けられるの?」と気になったことがある方は多いのではないでしょうか。私もその一人です。

当記事では、国が公開するそれぞれの認定基準を参考に、ビジュアルスノウ症候群(視界砂嵐症候群、雪視症、小雪症候群、以下ビジュアルスノウ)がどういった立ち位置にある疾患なのかについて解説します。

かみ砕いて説明しますので、下記のような方はぜひ最後までご覧ください。

・ビジュアルスノウの立ち位置を知りたい
・行政の資料を見たけど、いまいち内容が頭に入ってこなかった
・結局、自分に当てはまるのかわからなかった

当記事の情報の解釈の仕方について

ここからは「難病などに当てはまるのか?」について解説しますが……当てはまる度合いが高ければ高いほど苦難を強いる病気であり、緊急性の高い病気であることの証明になります。それは研究を進めていただくうえで、多くの人に認知していただくうえでの大義名分となるでしょう。

ただその一方で、それは「私たちはそれほど辛い病気をもっている」という客観的な証にもなってしまいます。人には「プラセボ効果(思い込みが気持ちや身体状況に変化を与える現象)」がありますので、もしかしたらより負担に感じてしまうかもしれません。

取り扱い難い話題であると感じつつ執筆していますので、その点は予めご了承ください。

また当記事の主題は「難病・指定難病・希少疾患・障害とサポート」です。これらは治療法が普及した際に、治療を受けられる・受けられないの話とは関係ありません。軽度の症状につき仮に難病に該当しなかったとしても、(医師の判断次第ではありますが)治療は受けられます!その点はご安心ください。

ビジュアルスノウは希少疾患?

ビジュアルスノウは希少疾患に該当すると考えられます。

その理由は、医師の認知度が低く(患者さんが診断された経験が少なく)、これまで日本で行われた実験の参加者が最大で数十名であるためです。

厚生労働省の希少疾患の定義は、「患者数が5万人未満の疾患」です。上記の情報を踏まえると、この基準を満たしていると考えられるでしょう。

なお難病も視覚障害もこの基準に該当するのであれば、「希少疾患」となります。

また世界には約7,000 種類の希少疾患があると考えられており、それらの希少疾患のうち、95%の疾患にはいまだ治療薬が存在していません。そして国ごとに希少疾患の基準は異なります。

引用元:日本における希少疾患の課題 武田薬品工業株式会社

この国ごとに希少疾患の基準については、今後VSIからの情報を翻訳し続けていくうえで注意が必要かもしれませんね。その際には注意を払って翻訳します。



ビジュアルスノウは難病?

ビジュアルスノウは難病に該当すると考えられます。厚生労働省が提示する「難病の4要件」を満たしている可能性が高いためです。

難病の4要件
発病の機構が明らかでない
治療方法が確立していない
希少な疾病である
長期の療養が必要である

それでは厚生労働省の資料「指定難病の要件について」を参考に、これらが具体的にどういった項目で、ビジュアルスノウはどういった状況なのかを一つずつ見ていきましょう。

※全体的に症状が軽度であり、生活に支障をきたしていない場合は、「長期の療養が必要である」に該当しない可能性があります

・発病の機構が明らかであるか

「発病の機構が明らかであるか」とは、つまるところ「病気の原因が明確になっているか/解明されているか」です。ビジュアルスノウは脳に原因があるとの説が年々有力となっていっていますが、現時点では未解明です。このため「発病の機構が明らかでない」に該当します。

引用元:指定難病の要件について | 厚生労働省

・治療方法が確立していない

続いて「治療方法が確立していない」についです。海外研究チームが発見した治療法は、完治ではなく、症状の緩和を狙う対処療法です。これは②の項目に該当するため、「治療方法が確立していない」の条件を満たします。

引用元:指定難病の要件について | 厚生労働省

・希少な疾病である

希少疾患の項目でお話ししたとおり、患者数が少なく希少な疾患であるといえます。

・長期の療養が必要である

こちらの項目については、まずは下記をご覧ください。

引用元:指定難病の要件について | 厚生労働省

海外研究チームが発見したビジュアルスノウの治療法(治験中、対処療法)は、20週間のエクササイズとなっています。またVSIは多くの動画や文章にて「ビジュアルスノウは、精神面での負担が大きく、生活に支障をきたす病気である」と主張しています。

このため、1~3までの条件をおおむねクリアしていると言えるでしょう。

このなかで気がかりなのは3番目の「療養」です。辞書の定義では、「療養:病気治療のため、手当をし、体を休めること。」とありますが、難病認定における「療養」とは、一体どんなものを指すのでしょうか。極端な話、長期間の入院などでないと、この療養に該当しえないのでしょうか。

難病関連のサイトでは、この「療養」が具体的に何を指すかのについての記載を見つけられませんでした。

そこで厚生労働省の別の制度(保険診療)から、この言葉の意味を解いてみました。厚生労働省発行の「保険診療の理解のために」における「療養の給付」の項目では、「給付内容」が下記のように説明されています。

引用元:保険診療の理解のために 厚生労働省

上記画像のとおり「療養」は、必ずしも長期間の入院だけではありません。診察や薬剤、治療材料の支給も療養の範疇とされています。

上述したとおり、ビジュアルスノウの治療法(治験中、対処療法)は20週間のエクササイズです。

これを踏まえると、当項目「長期の療養が必要である」も満たしていることがうかがえます。

・まとめ

これら4つの項目を統括すると、「ビジュアルスノウは難病の4要件を満たしている」と言えるでしょう。

・追記

2021年9月24日に掲載された現代ビジネスの記事にて、日本神経眼科学会の理事、清澤氏が「難病といっても間違いない」とご発言されましたことを追記します。

水谷さんがビジュアルスノーシンドロームであるとすれば、難病といっても間違いではないでしょう。

引用元:目の中に荒れ狂う“砂嵐”が…五輪メダリスト・水谷隼が明かした「目の異変」の正体 現代ビジネス

実は、難病に認定されるだけでは国からのサポートを受けられません。国からのサポートを受けるためには、指定難病認定までたどり着かなければいけません。次の章からは、それについてお話します。



ビジュアルスノウは指定難病?

ビジュアルスノウが指定難病に該当しえるのかについては、現時点では不明です。

指定難病の要件は、難病4要件に加え、下記の条件を満たす必要があります。

指定難病の2要件(難病4要件に加えて)
⒈患者数が一定の人数(国民の18万人・人口の0.142%未満である)に達しないこと
⒉客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していること

条件1は満たしています。問題は条件2です。こちらの記事の「診断基準」の項目でお話ししたとおり、海外研究チームが提唱する診断基準は存在します。また日本国内には、少数ながら医師から正式に診断された方々もいます。

引用元:VSSの診断書(ビジュアルスノウ) note

ただし、これが下記画像の項目を満たすのかについては……国の判断次第です。

引用元:指定難病の要件について | 厚生労働省

指定難病に認定されるまでの流れ

では、条件を満たしたとして、どのように指定難病に認定されるのでしょうか。

その答えは、「厚生科学審議会での意見聴衆」です。議会にて、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴き、厚生労働大臣が認めたものが「指定難病」として認定されます。(別の言い方をすれば、厚生労働省が認可したものが指定難病となります)

つまるところ、国のお偉いさんに認めてもらう必要があるということですね。

なお2021年9月4日時点の指定難病の総数は、331疾患です。疾患の一覧表は、「医療費助成制度周知用資料 厚生労働省」からご覧いただけます。

また指定難病は、過去に認定基準が改正され、大幅に増えたことがあります。このため仮に現時点で基準を満たせなかったとしても、将来的には制度改定により新たに認定される余地があるといえるでしょう。

助成する難病「指定難病」の種類は、これまでの56から110に(※)、平成27年7月からは306と大幅に増え、平成29年4月には330、平成30年4月には331、令和元年7月時点では333疾患となりました。

引用元:難病法と指定難病|大日本住友製薬 健康情報サイト



指定難病に認定されるメリット

指定難病に認定された場合のどのようなサポートを受けられるのかについては、下記2つのパターンがあります。

  1. 「重症度分類」をクリアできる場合:医療費用を一定額負担してもらえる
  2. 「重症度分類」をクリアできない場合:障害者総合支援法の諸サービスのみ(医療費助成は受けられない)

重症度分類については下記のとおりですが、ビジュアルスノウの重症度分類がどのような内容になるのかの検討はついていません。このため、ビジュアルスノウが難病支援を受けられるのか、また受けられたとしてどの程度サポートしてもらえるのかについては、現段階ではまったく判断できないのが実情です……

資料の内容はやや複雑ですが、つまるところどういうことですか?
指定難病に認定されるだけでは不十分であり、手厚い支援を受けるためには”重症”である必要があるということです。

引用元:指定難病の要件について | 厚生労働省



「重症度分類」は一部で非難の声もあり

なお「重症度分類」は一部で非難の声もでています。

国は、症状の軽重にかかわらず、等しく基本的人権を享有する個人として尊重し合いながら生きることを保障する医療費助成制度を構築すべきであり、重症度分類を一刻も早く撤廃すべきである。

引用元:難病医療費助成制度における重症度分類の撤廃を求める会長声明|弁護士会の意見|和歌山弁護士会

そもそも指定難病に認定されるだけでも、患者さんは身体的・精神的・金銭的に相当の苦難を強いられています。その状況でさらに絞られるわけですから、こういった指摘がでてくるのも当然と言えるでしょう。

「難病にかかる医療費の助成」の注意点

難病関連の資料で「難病にかかる医療費の助成」との文言を見かけることがあります。この際には、「難病」ではなく「指定難病」のことを指しています。このため文脈に応じた判断が必要です。

「難病」ではなく「指定難病」のことを指しているもの

引用元:医療費助成制度周知用資料 厚生労働省

難病と障害の違い

難病と指定難病と障害の関係性については、下記の図のとおりです。このように、難病と障害は重なり合う部分があります。

難病と指定難病と障害の関係性

引用元:難病入門 難病と指定難病と障害、その違い|2018年4月|産学官連携ジャーナル

上述したとおり、平成25年に指定難病も「障害者総合支援法」の対象となりました。このため、もともとは「難病」と「障害」、それぞれにまつわる制度は完全に別個のものでしたが、現在では「重なり合う部分が多い曖昧なもの」となっているのです。



そもそも障害とは?

「障害者総合支援法」では、以下の人が「障害者」として定義されています。

  • 身体障害者(身体障害者福祉法第四条で規定)のうち18歳以上の人
  • 知的障害者(知的障害者福祉法でいう)のうち18歳以上の人
  • 精神障害者(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第五条に規定)のうち18歳以上の人(発達障害のある人を含む)
  • 難病(治療方法が確立していない疾患その他の特殊の疾患で政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度)のある18歳以上の人

なおひとえに障害者といえども、その内訳は下記の通りです。

引用元:難病入門 難病と指定難病と障害、その違い|2018年4月|産学官連携ジャーナル

ビジュアルスノウは視覚障害?

ビジュアルスノウの砂嵐や羞明、過度の残像(視覚保持)はれっきとした視覚障害です。

実際に、以前Yahoo!ニュースに掲載された清澤先生監修の記事では、「視覚障害」との記述があります。

東京医科歯科大学の神経眼科研究グループと東京都健康長寿医療センターPET研究室は、ビジュアルスノウ症候群患者の脳糖代謝変化を調査しました。この結果、患者は、白と黒の縞模様を判別するコントラスト感度が両眼で低下していました。ただし、視力はまったく低下していませんでした。ですからビジュアルスノウ症候群の患者の視覚障害は、どの眼科医でも測定が可能なコントラスト感度測定によって判定できる可能性があります。

視界の中に砂嵐のようなちらつきがあって集中できない… | Yahoo!ニュース



ビジュアルスノウは別の障害に区分される可能性がある

ビジュアルスノウは別の障害に区分される可能性もあります。海外および日本研究チームの所見では、脳機能に異常があるとの説が強まっているためです(詳しくはこちらの記事の「原因」欄より)。

そして実際に多くの患者さんは眼以外の耳や体、精神面にも不調が現れているのではないでしょうか。

これらを踏まえると、ビジュアルスノウは別の障害に区分される可能性があるのです。

ビジュアルスノウは、本当に複雑な点・わからない点が多いんですよね……

障害者に認定されるメリット

障害者に認定された場合、障害者手帳が付与されます。その場合、下記2つの支援を行政から受けられるようになります。

  1. 障害者総合支援法のサービス
  2. 手帳保持者向けサービス

障害者総合支援法とは、障害者・指定難病患者を支援する国の制度(法律)です。受けられるサポート(サービス)は大きく分けて下記の5つ。

  • 障害福祉サービス:介護や就労に向けた訓練など
  • 自立支援医療:医療費の自己負担額を軽減
  • 補装具支援:補装具の自己負担額を軽減
  • 相談支援:生活するうえでの相談窓口
  • 地域生活支援事業:手話通訳や要約筆記など

自立支援医療の対象者は、障害者手帳を所持している人のみとなっています(視覚障害において)。

引用元:自立支援医療制度の概要 |厚生労働省

手帳保持者向けのサービスとしては下記のようなものが挙げられます。

  • 医療費の助成(心身障害者医療費助成制度など)
  • 博物館や映画館などの公共施設の割引
  • JRやバス・航空運賃などの公共機関の割引
  • 携帯電話基本料金などの割引
  • 「障害者雇用枠」での応募が可能

この手帳には1級~6級までの等級があり、等級ごとに受けられるサポートの度合いが異なることにご注意ください。

なお、ここまで障害者総合支援法や障害手帳保持者向けのサービスを網羅的に解説しましたが、自治体によって受けられる内容が大幅に変わります。

例えば茨城県の場合、「障害者総合支援法」の諸サービスのうち、受けられるのは「障害福祉サービス」のみです。

参考

障害者総合支援法と難病 | 茨城県 

一応HPには「障害福祉サービス等」と「等」の記載があります。ただページ下部の「障害者総合支援法で利用できるサービスの内容(PDF)に記載があるのは、「障害福祉サービス」のみとなっています。このため茨城県では、「障害福祉サービス」のみと考えられるでしょう。

一方で船橋市の場合は、「障害福祉サービス」のみではありません。その他下記のサービスを受けられるそうです。

難病患者等の方も障害福祉サービス等を利用できます|船橋市公式ホームページ

またいずれの場合も、審査を経て、その患者さんに「必要と認められたサービス」のみが受けられます。このため具体的に個々人がどのサービスを受けられるかは、審査をしない限りはわかりません。



ビジュアルスノウは障害者手帳をもらえる?

ここまで障害支援制度の概要についてお話してきましたが、実はビジュアルスノウ患者さんが障害者手帳(身体障害者手帳)をもらえる見込みはあまりありません。またもらえるとしても、重度の患者さんに限ります。

なぜなら視覚障害の対象は、視力・視野に問題(視力障害・視野障害)がある人のみとなっているためです。

・視力障害:矯正しても一定レベルまで視力の回復が期待できない状態

・視野障害:視野が欠ける状態

 

厚生労働省が公表している「身体障害者手帳における障害程度等級」(下記画像)をご覧ください。下記表のとおり、視覚障害の認定基準は視力と視野のみなのです。

引用元:身体障害者手帳における障害程度等級

このため、夜盲や砂嵐などビジュアルスノウの諸症状があるだけでは障害者手帳の対象にはなりません。

色覚異常(色盲)や夜盲等は、現在のところ障害者手帳交付の対象となっていない視覚障害です。
引用元:視覚障害について | 函館視力障害センター

なお重度の砂嵐により、視力が著しく落ちている場合には、その対象となる可能性があります。またビジュアルスノウが別の障害に認定された場合も、同様です。



ビジュアルスノウの立ち位置 まとめ

  • 希少疾患:該当すると考えられる
  • 難病:該当すると考えられる
  • 指定難病:不明点はあるが、該当する可能性がある
  • 視覚障害:該当する。ただし手帳がもらえるのは、ビジュアルスノウ患者のなかでも視力・視野に悪影響を受けている方のみ

ビジュアルスノウと行政のサポート まとめ

 

ビジュアルスノウ患者が指定難病・障害者認定を受けるまでの流れ

現在の状況から、ビジュアルスノウ患者さんが指定難病の認定を受けられるようになるまでには、下記の手順を踏むこととなります。

  1. 医師にビジュアルスノウ患者のデータが集まる
  2. 議会に提出される
  3. 基準を満たせば、ビジュアルスノウが指定難病・障害に認定
  4. 行政による審査を通過した患者さんが「指定難病受給者証・障害者手帳」を受け取る

現在はステップ1の段階ですので、研究者に最大限の感謝をしつつ今後の進展を暖かく見守りましょう。

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