症状・原因

ビジュアルスノウの原因やキッカケは何?どうして発病するの?

「ビジュアルスノウ(視界砂嵐症候群)の原因って、結局どこにあるの?」「脳という噂を聞いたけれどあれは本当?でもPET(陽電子放射断層撮影)で検査したけど異常が無かった……」「人それぞれ発症の原因が違う気がする……」と気になっている方は多いのではないでしょうか。

今回はビジュアルスノウの論文をもとに、現段階でわかっていることをご紹介します。

ビジュアルスノウの原因

ビジュアルスノウ症候群(視界砂嵐症候群、雪視症、小雪症候群、以下ビジュアルスノウ)の根本的な原因はいまだ明らかになっていません。候補として挙がっているのが「皮質(脳)の神経細胞の過興奮」です。

It is emerging as a disorder separate from, but associated with, migraine visual aura, and neuronal cortical hyperexcitability is being considered as a theoretical mechanism for the persistent-positive visual symptoms.

これは、閃輝暗点を伴う片頭痛に関連する障害として出現しており、陽性の視覚症状が持続する理論的なメカニズムとして、神経細胞の過興奮性が考えられています。

引用元:Visual Snow: a Potential Cortical Hyperexcitability Syndrome | Springer link.

The underlying cause is not known but is best explained by increased neuronal excitability resulting in visual system hypersensitivity and therefore seeing sub-threshold visual stimuli normally filtered out by the visual system.

根本的な原因は不明ですが、神経細胞の興奮性が高まり、視覚系が過敏になることで説明できます。そのため、通常は視覚システムによって除去される閾値以下の視覚刺激が見えてしまうのです。

引用元:Visual snow | Innovative Eye Care (薬物療法)

ビジュアルスノウは、幻聴と聴覚過敏の頻度と強度が平行しており、聴覚と視覚の両方の幻覚を誘発する脳の一般的な過興奮がある可能性があることを示唆しています。皮質の過興奮を軽減する薬剤(すなわち、抗けいれん薬、抗不安薬)が有効である可能性があります。

The visual snow paralleled auditory hallucinations and hyperacusis in frequency and intensity, which suggests there may be generalized hyperexcitability of the brain inducing both auditory and visual hallucinations. Agents that reduce cortical hyperexcitability (i.e., anticonvulsants, anxiolytics) may have efficacy.

引用元:148 Visual Snow Defeats Guardians of the Galaxy Volume 2: Unremitting Pixelation Despite Three-Dimentional Stereoscopic Film | Cambridge Core

具体的に脳のどこの部位が原因となっているかは明確には判明していません。しかし2014年6月にビジュアルスノウ患者を対象に行われた研究では、視覚や単語の認知などと関わりがある部位、右舌状回(みぎぜつじょうかい)の代謝活動(平たく言えば「活動」)の亢進(こうしん、「過剰」の意)が確認されました。

これをもって該当論文では、ビジュアルスノウを脳機能障害と位置づけています。

The hypermetabolic lingual gyrus confirms a brain dysfunction in patients with “visual snow.”

代謝亢進性舌状回により、「ビジュアルスノウ」患者の脳機能障害が確認されました。

comparison of 17 “visual snow” patients with 17 age and gender matched controls showed brain hypermetabolism in the right lingual gyrus

17人の「ビジュアルスノウ」患者の比較は、右舌状回の脳代謝亢進を示しました。

※上記の「比較」は、年齢・性別を一致させた健康な人との比較を指します

引用元:The relation between migraine, typical migraine aura and;visual snow; | PubMed

2020年に提出された論文によると、視覚情報を処理する「視覚野」の「外線条皮質(がいせんじょうひしつ)」に代謝亢進(過剰な代謝)と皮質体積の増加が確認されとのことです。

また音声処理・聴覚と関連のある右上側頭回(みぎじょうそくとうかい)および言語理解と関連のある左下頭頂小葉(ひだりしたかとうちょうしょうよう)で代謝低下がみられたとのこと。

その他、視覚・聴覚に関わる側頭葉と記憶、情動、注意などに関わる辺縁葉(へんえんよう)では灰白質量の増加、上側頭回では灰白質量の減少が見られました。

やはり脳に異常をきたしており、そのなかでも「視覚連合野」に問題があることがこの研究で明らかになったのです。

Patients had corresponding hypermetabolism and cortical volume increase in the extrastriate visual cortex at the junction of the right lingual and fusiform gyrus. There was hypometabolism in the right superior temporal gyrus and the left inferior parietal lobule. Patients had grey matter volume increases in the temporal and limbic lobes and decrease in the superior temporal gyrus. The corresponding structural and functional alterations emphasize the relevance of the visual association cortex for visual snow syndrome. The broad structural and functional footprint, however, confirms the clinical impression that the disorder extends beyond the visual system.

患者は、右舌状回と紡錘状回の接合部の外線条皮質に、対応する代謝亢進と皮質体積の増加が見られました。右上側頭回と左下頭頂小葉に代謝低下が見られました。患者は、側頭葉と辺縁葉で灰白質量が増加し、上側頭回で減少しました。対応する構造的および機能的変化は、ビジュアルスノウに対する視覚連合野の関連性を強調しています。しかしながら、広い構造的・機能的フットプリントは、障害が視覚系を超えて広がっている臨床的印象を裏付けています。

引用元:Structural and functional footprint of visual snow syndrome | Brain | Oxford Academic

これらからわかる通り、ビジュアルスノウの原因は眼科学の範疇ではないと言われています。このため、眼科で行われる検査ではまず診断されません。眼科学ではなく、神経学や神経眼科学の範疇となり、これらの分野では稀に診断されることがあります。

補足

ビジュアルスノウ関連の論文では”cortical(皮質)”という単語が頻出します。辞書の定義を見ると、この単語は非常に広範囲のものを指す曖昧なものとなっています。このため「皮質(脳)」と表記しました。

大脳・小脳・副腎 (ふくじん) ・腎臓など実質臓器の外層をなす部分。内部の髄質とは異なる作用を営むことが多い。

皮質(ひしつ)の意味 – goo国語辞書

なお大脳は「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」を主に構成されており、脳の大部分を含みます。この大脳に加えて、運動調節機能を担っている小脳も含まれるのが「皮質」という言葉です。

引用元:大脳皮質のおはなし | パーキンソン病 介護・症状日誌

このように「皮質」は脳の大部分を担っているため、当サイトでは「皮質(脳)」と解説しています。

「ビジュアルスノウの原因は皆一緒?結局、どこに異常があるの?」について教授が回答「ビジュアルスノウ(視界砂嵐症候群)の原因って、結局どこにあるの?」「脳という噂を聞いたけれどあれは本当?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。 今回はモナシュ大学(オーストラリアの大学)の眼球神経(眼球運動)研究室長および教授のオーウェン・ホワイト氏がYoutubeチャンネル『Visual Snow Initiative』の動画内にて述べたご意見をご紹介します。...
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